「足柄SAなら大きいから、絶対名古屋方面に行く人いるよ。そこまで送るよ。」
足柄SAは静岡県に位置する有名な大型サービスエリアらしい。
短パンと黒キャップ黒Tシャツが似合う若々しい旦那さんが30後半だと聞いて2人で驚いた。昨日は子どもが乗っていたから「いないいないばぁ!」が流れていたが、今日は首を縦に振りまくる系の激しい音楽が流れている。旦那さんは昔DJもしていたらしい。
「嫁が、誕生日なんだから何かあげなきゃ、って持たせてくれた。どうぞ。」
IKEAのジップロックの中にリンゴジュースとお菓子が入っていた。
昨日車内で、倫太郎が明日誕生日であることを何気なく話していたのを覚えていてくれていたのだ。私も便乗していただく形になった。ごちそうさまです。
このとき、一瞬ではあったが、富士山が見えた。
雪化粧をした美しい富士に神々しさを感じた。
結構走ったと思う。いま地図で確認して分かった。
こんなに遠くまで送ってくれたなんて本当にありがたい。
足柄SAに着くと、リンゴジュースをすぐに飲んだ。
旦那さんは出勤時間までまだ時間があるらしく、
「お腹空いてる?焼きそばでもたべる?せっかくだから名物を食べよう。」
といい富士宮焼きそばを買ってくれた。
そのあと、コーヒーと焼きそばは合わないかなぁといいながらスターバックスコーヒーもご馳走してくれた。2杯目は100円だからレシートを持っておくといいことも教えてくれた。
外のベンチに座って焼きそばをいただいた。それはそれは美味しかった。
旦那さんとたくさん人生について話した。
旦那さんに今後の進展について聞かれたので、
「私は器用でなんでもある程度できてしまうので、全部中途半端になってる気がします。だから沖縄に戻ったら何か一つに絞ってそれに打ち込もうと思っています。」
と答えた。
すると旦那さんは、
「なんでもできるってすごいことなんだから全部やっちゃえばいいよ。ひとつのことに絞っちゃうとそれがダメになったときに、あぁやっぱりあっちの方が良かったかなって後悔しちゃうよ。いろいろやってみて、これはやっぱあいつには敵わないなとか、これは絶対続けたいなって言うものが分かってくるよ。」
といった。
この旅で自分のやりたいことを絞ろうと思っていた私の方向性とは真逆の意見が返ってきてとても新鮮だった。
枠に囚われず色んなことに挑戦して、やっぱりこれだというものに回帰すればいい。
この旅で私が学んだことは「柔軟性」だ。自分では適応能力の高い頭の柔らかい人間だと思っていたが、27年生きてきて得た常識、煮詰まった現在の状況によって視野が狭く暗くなっていた気がする。
色んな人の色んな意見を聞くたびに凝り固まっていた考えみたいなものがほぐされていく。そうだよ、いつも自分に言ってんじゃん、『絶対』なんてものは存在しない。諸行無常だって。
屋根も電気もない自然の中で寝泊まりしているから五感すべてが刺激されているのかもしれない。
旦那さんはいままでの人生で辛かったこと、大変だったことを語ってくれた。こんな順風満帆そうな方がそんな苦労されてたとは話を聞くまで分からなかった。旦那さんは私の気持ちを見透かすようにこういった。
「生きてると誰かをみて、あの人はお金持ちでいいなぁとか、家族団らんで幸せそうだなぁとか思うだろうけどさ、みんな必ず悩みや困難を抱えて生きてるんだ。みんなそれを外には見せずに生きてるだけなんだよ。だから、他人のことをうらやましく思っちゃダメだよ。」
この言葉は焼きそばとコーヒーとともに血肉となって私の中に吸収された。
最近失いかけてた「客観性」を私に思い出させてれた。
そうだ、なぜ私たちを拾ってくれたのか?
拾ってくれた方々が私たちに共通して言う言葉がある。
「おもしろい」
私たちに、その挑戦に、ヒッチハイクに、「おもしろい」と思ってくれたのだ。
お金もない見ず知らずの私たち。
うっとりするような美貌も美しい歌声も持ち合わせていない。
でもね、客観的な目線で「気づく」ことができた。
私たちが、彼らに与えられることは、実は「たくさんある」んだってこと。
ヒッチハイカーを乗せるという「非日常な体験」を提供できる。いままでの旅の話をしてワクワクさせる。人生について話す。「ありがとうございます」って感謝を伝えられる。
身構えて何か準備する必要もないし、特別な才能もいらない。
いまこの瞬間の気持ちに素直になって、誰かに感謝したり笑ったりすればいい。
たくさんの人がいて、自分のことをさせる人もたくさんいるし、受け入れてくれる人もたくさんいる。この短い人生の中でどれだけの人と出会えて、会話できるのだろう。
栄養と思考が目まぐるしく脳内を循環する。
仕事に向かう旦那さんと握手をして感謝を伝えた。
赤い車がSAを出て行くまで手を振った。
お腹も落ち着いてひと段落した私たちは、足柄SAを散策することにした。
レストラン、お土産屋はもちろん、ドッグランや銭湯まであった。
最悪ここに野宿することになってもまったく問題なかった。
一通り散策したあと、「名古屋方面」の紙の掲げて駐車場を一周してみた。
「名古屋まで今日中に行けるといいなぁ〜」とプラプラ歩く我々に、
まったく予想だにしない展開が待っていた。
空には一筋の虹が我々の行く先を指し示すかのように光っていた。
つづく
屋根も電気もない自然の中で寝泊まりしているから五感すべてが刺激されているのかもしれない。
旦那さんはいままでの人生で辛かったこと、大変だったことを語ってくれた。こんな順風満帆そうな方がそんな苦労されてたとは話を聞くまで分からなかった。旦那さんは私の気持ちを見透かすようにこういった。
「生きてると誰かをみて、あの人はお金持ちでいいなぁとか、家族団らんで幸せそうだなぁとか思うだろうけどさ、みんな必ず悩みや困難を抱えて生きてるんだ。みんなそれを外には見せずに生きてるだけなんだよ。だから、他人のことをうらやましく思っちゃダメだよ。」
この言葉は焼きそばとコーヒーとともに血肉となって私の中に吸収された。
最近失いかけてた「客観性」を私に思い出させてれた。
そうだ、なぜ私たちを拾ってくれたのか?
拾ってくれた方々が私たちに共通して言う言葉がある。
「おもしろい」
私たちに、その挑戦に、ヒッチハイクに、「おもしろい」と思ってくれたのだ。
お金もない見ず知らずの私たち。
うっとりするような美貌も美しい歌声も持ち合わせていない。
でもね、客観的な目線で「気づく」ことができた。
私たちが、彼らに与えられることは、実は「たくさんある」んだってこと。
ヒッチハイカーを乗せるという「非日常な体験」を提供できる。いままでの旅の話をしてワクワクさせる。人生について話す。「ありがとうございます」って感謝を伝えられる。
身構えて何か準備する必要もないし、特別な才能もいらない。
いまこの瞬間の気持ちに素直になって、誰かに感謝したり笑ったりすればいい。
たくさんの人がいて、自分のことをさせる人もたくさんいるし、受け入れてくれる人もたくさんいる。この短い人生の中でどれだけの人と出会えて、会話できるのだろう。
栄養と思考が目まぐるしく脳内を循環する。
仕事に向かう旦那さんと握手をして感謝を伝えた。
旦那さんと3ショット
赤い車がSAを出て行くまで手を振った。
お腹も落ち着いてひと段落した私たちは、足柄SAを散策することにした。
レストラン、お土産屋はもちろん、ドッグランや銭湯まであった。
最悪ここに野宿することになってもまったく問題なかった。
一通り散策したあと、「名古屋方面」の紙の掲げて駐車場を一周してみた。
「名古屋まで今日中に行けるといいなぁ〜」とプラプラ歩く我々に、
まったく予想だにしない展開が待っていた。
空には一筋の虹が我々の行く先を指し示すかのように光っていた。
つづく
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