「『ファニーゲームU.S.A』是非観てください」と勧められた。
今日FM聞いてたらミヒャエル=ハネケ監督の「隠された記憶」について話していて、
その会話の中に「ファニーゲーム」という単語が出てきた。
「これは!」と思いバイト終わって速攻でGEO行って借りて鑑賞。
『ファニーゲーム』は1997年のオーストリア映画。
監督のミヒャエル=ハネケは、ドイツ生まれオーストリア育ち。
オリジナル版を同じ脚本、同じ演出、同じ音楽、同じ構図で、
ハリウッドリメイクした作品が、
『ファニーゲームU.S.A』だ。
言語もドイツ語から英語になっている。
まったく同じ構図のセルフリメイクとは!
オリジナル版の『ファニーゲーム』の予告を観たが、
まったく同じ構図で驚いた。
『犬神家の一族』みたいだ。
ストーリーは、
親子3人で別荘に向かう、
和やかな車内から始まる。
別荘について晩御飯の支度をするナオミワッツの元に、白いポロシャツを着て白い手袋をした2人の男が訪ねてくる。
この招かれざる客によって、家族3人は恐怖のどん底に突き落とされる。
という一見ありきたりなストーリーなのだが、この映画が他の作品と違うのは、観客が映画の傍観者ではなく、参加者になってしまうところだ。
2人の招かれざる客が、
家族にゲームを持ちかけるとき、
カメラ目線になってこちら側(観客)にも語りかける。
映画を「観てる」側に、
急に画面の向こうの世界の住人が、
こちらを静観して話しかけるのだ。
これが本当に恐ろしい。
そして、我々の期待や希望を全て丁寧に潰し、
容赦ない暴力が画面の向こうの世界を支配する。
容赦ない暴力が画面の向こうの世界を支配する。
観客は強制的にゲームに参加させられ、彼らの暴力になすすべもなく、絶望する。
そして残忍な2人、彼らこそがこの映画の世界の神であるような錯覚に陥る。
不思議だ。この映画は完成している時点で、ストーリーは決まっているはずなのに、彼らがその場で全て決めているように見えてくる。それが恐ろしい。
神であるはずの彼らもまた、
自分たちの逃れられない運命に絶望しながら、殺人を続ける。
ゲームは淡々とラストまで進み、
観客を暗闇に突き落として強制的に終わる。
こんなに後味の悪い映画は『ミスト』以来だ。
フィクション作品のご都合主義、悪が裁く爽快感、カタルシス、
ゲームは淡々とラストまで進み、
観客を暗闇に突き落として強制的に終わる。
こんなに後味の悪い映画は『ミスト』以来だ。
フィクション作品のご都合主義、悪が裁く爽快感、カタルシス、
その全てを徹底的に批判したときに我々が目の前に突きつけられるのは
フィクションを超えたいままで体験したことのない宇宙。
フィクションを超えたいままで体験したことのない宇宙。
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