2014年12月23日火曜日

『MAKE MONEY』

小学校中学年くらいのとき
親父と二人で車に乗ってたときのこと。
いつものように運転しながら仕事の電話を大声でする親父。
私は窓の外のいつもと同じように過ぎ去る景色をぼーっと眺めていた。
親父は電話を切ると不躾にこう言った。

「ムネタカ、この世で一番大事なもんは何かわかるか?」
「・・・え、わからん・・・。」

突然の質問に返す言葉を探していると、
すぐにこう言われた。
この人はいつも自分のペースで話す。

「この世で一番大事なもんは金や。金がすべてや。」
「そうなん?」

「金があったら、なんでもできる。
やからなぁムネタカ、男はなぁ金が稼げんとしょーもないぞ。」
「・・・うん。」

小学生の私でも分かるくらい
常に金策に追われていた父親に、
そんなことを言われたから動揺した。
親父は多額の借金を抱えているにも関わらず、
天性の人たらしの才能と手先の器用さで
どこからか仕事を引っ張ってきて、
金を工面していた。

もちろん銀行もクレジットカードもブラックリストで、
私の母親の名義も汚しまくっているにも関わらず、
どうにかしていつも金を回し続けていた。

幼い頃から「この世で一番大事なものはお金」だと
言われ続けてきた。
日々お金に追われ、死ぬ直前までお金のことを考え続けていた親父。

そんな親父の生き方を見ていて、
「お金の大切さ」は身をもって実感している。
また大人になればなるほど、
お金があればしたいことができ、
大抵のものは手に入ることも知った。
多くの人が日々お金のことを考えながら、
死ぬまでそのことを考え続けていることも知った。
もし、お金の心配をしない毎日だったとしたら?
時給に縛られない生活だとしたら?

親父は金を稼ぐこと自体に取り憑かれている気もしたけど、
でも親父の根本的な考え方、
「人より稼げ」という教えは
この歳になって理解できる。

人の教えというのは、鵜呑みにしなくていい。
自分に都合のいいように解釈していいし、
誰かが自分のために言ってくれてることは、
少しでも役に立つことであるはずなのだ。

真偽は定かではないが、
ツイッターで偶然見つけた北野武の名言もこのことを気づかせてくれた。

金、とにかく金を稼げ、
それで何でも買ってみろ。
愛 恋 友情 幸福 みんな買えたか
それから金で買えないものを探せ

私がいままで生きてきて、
現段階で親父と考えが違うのは、
「お金が一番」じゃないことだ。
たしかにお金はとても大切で、
この現代社会での豊かさはお金で測れる。
しかし、お金はあくまでツールだ。
私が何かをするためのツール、
または私がなにか役に立ったときの対価だ。
この考え方ができれば「時給で稼ぐこと」から解放され、
お金を稼ぐことへのモチベーションも上がる。

親父は極端でむちゃくちゃで
お金にもルーズだったが、
彼が苦労して生きてきて導き出した答えの一端に
私の人生に必要な要素があると、
最近は考えるようにしている。

親父のことは心底嫌いで、
死んで記憶の中で美化されることすらも嫌悪だったが、
26年生きてくると色々と考えも変わってくるものだ。

今の私には金がないが、
自分のしたいことのために金を稼ぐ。
そして私にも他の誰にでも潜在的にその能力はあるはずだ。


0 件のコメント:

コメントを投稿