2014年1月11日土曜日

映画「ゼロ・グラビティ」観た

「岸和田にすげー映画館がある。」
ジョージのその言葉に心引かれた。
「すげー映画館」とは
IMAX方式のことである。
IMAX方式とは何か?
簡単に言うと、
デジタル上映の粋を集めて作られた、
今まで見たことのないくらい
臨場感のある表現を可能にする技術
のことだ。

詳しくはこちら↓
http://109cinemas.net/imax/about.html

日本のIMAXデジタルシアターは16ほどしかない。
その中のひとつが岸和田にある
「ユナイテッド・シネマ岸和田」である。

「ユナイテッド・シネマ岸和田」HP↓
http://www.unitedcinemas.jp/kishiwada/index.html

しかしこの映画館、岸和田駅から歩いて20分かかる。
重い荷物を転がす我々旅人にとっては、ちと長い距離だった。
でも、風情溢れる町並みで歩いてて飽きなかった。

( ここからネタバレの可能性があります!)

「ゼロ・グラビティ」(原題:「GRAVITY」)は何度か予告編を見て、
「これは面白そうだ、映画館で見たい!」と思っていた作品。

幼い頃「スピード」を観て以来、
サンドラ=ブロックは困難に立ち向かう勇敢な女性という印象が強い。
でも、ジョディーフォスター(「羊たちの沈黙」)や
シガニーウィーバー(「エイリアン2」)のように、
常人離れした屈強な精神と肉体を持つキャラではなく、
どこか普通の女性でセンシティブな「もろさ」を兼ねそろえているのが
彼女の魅力だろう。

さて、初めてのIMAX。まず料金がちと高め。
大人2,200円(専用ゴーグルレンタル代込み)
専用ゴーグルもいわゆるいままでの3D用のウェリントン型ではなく、
全体的に湾曲しててごついデザインだった。

劇場に入ると、さすが平日の昼下がり、
私たち除いて2組しかいなかった。
ほぼ貸し切り状態

冒頭の2D予告は「ロボコップ」のリメイクとかが流れて、
3D予告は「ホビット」シリーズ最新作が流れた。
この手のファンタジーはもはや、
ピーター=ジャクソンのライフワークになっている。

そしていよいよ本編である。
物語は宇宙の説明をさらりとしてから静かに入っていく。
音響効果にまず驚いた。
冒頭の8分以上あるワンカット
シャトルの外に出て、機器を修理する任務。
NASAから来る無線の音声が右側から聞こえてくる。
声が聞こえてくる方向、ノイズ、音質、それが本当にリアルで
まるで自分たちも宇宙空間にいるかのような錯覚に陥るのだ。
静寂の宇宙で、冗談混じりに会話するマット(ジョージクルーニー)
黙々と作業をするライアン(サンドラブロック)。
実はこの映画、登場するのはこの2人だけ。(冒頭にもうひとりいるがすぐに死ぬ)
ワンシチュエイションでしかも2人芝居で、舞台は宇宙。
これだけ聞くと退屈な映画になる可能性の方が大きいのに、
この映画は大ヒットした。

そこには視覚的、音響的工夫が緻密に張り巡らされていた。

まずこの話、時間でいうとほんの数時間の出来事なのだ。
その数時間を切り取り会話の中だけで、
その人物の人となりを美味く説明している。

ジョージ=クルーニーのアメリカンジョークと
ラジオから聞こえてくる音楽だけが、
宇宙空間に漂う無機質な緊張感を和らげてくれる。

まず視覚効果。
最新3DはUSJの「ターミネーター」のアトラクションにも匹敵する臨場感だった。
爆発片が飛び散って目の前に飛んできたときは、思わず顔を反射的にそらしてしまう。
従来のレイヤーが層になってる感丸出しの3Dではなく、
登場するものには立体感がある。
ゴーグル越しに観てるが、視界の暗さもそんなに気にならない。

次に音響効果。
宇宙では音が伝わらないという大前提があるから、
宇宙ものの映画音楽は難しいと思う。
モノクロ写真に色をつけていくようなイメージだろうか。
無機質な空間に違和感なく、かつスリリングな印象を与える。
シンプルな音なのだが、その分、迫力があった。
予告編でも存分にその存在感を発揮していた
「ジャーーーーン!!」
というあの音。
これが観るものの気持ちをさらに不安にさせる。

この映画私が一番グッときたシーン。
それは大気圏に突入するシーンでのサンドラ=ブロックの台詞。
「これからどうなるか、2つしかないわ。無事地球に帰還できるか。10分後に焼け死ぬか。」
というところ。
このあと続けて自分の思いを吐露するのだが、ここで泣いてしまった。
死ぬかも知れない状況なのだが、彼女の言葉一つ一つには希望があった。
絶対生きて帰ってやるという、強い信念を感じた。
そこに感動した。

アメリカ人のうらやましいところは、
主張の文化だからこういうシーンがとても自然に描かれる。
観てていやらしくない。
日本人がこういう窮地に立たされた状況でペラペラしゃべると、
なんか急に嘘くさくなる。
日本的に描くなら、自分の思いをためて、ためて、
最後に一言ポツリという方が日本人らしいし、それが自然なのだ。

最後のシーン。
溺れかけながらもなんとか岸にたどり着く。
そこには、草が、土が、虫が、そして重力がある。
ぼろぼろの身体を、最後の力を振り絞って立ち上がる。
地面を、酸素を、重力を感じながら、
しっかりと立ち上がった彼女の姿は美しかった。

見終わった後は手に汗びっしょりで、
チケットの半券はくしゃくしゃに握りつぶしていた。
この映画わずか91分の尺なのにも関わらず、
見応えがあった。長く感じた。
しばらく宇宙酔い(カメラ酔い、3D酔い)で頭がクラクラしていた。
一度もカメラが水平を取らないのだから、そりゃそうだ。
体調が悪かったらキツかったかもしれない。

席を立つ際に、ジョージがあることに気付いた。
「このコイン入れるところはなんだろう。」
見ると、座席の手すりの下にコインを入れるところがあるではないか。
なんだろうと疑問に思い、劇場を出てスタッフに聞いてみた。

「あ、それは専用のコインを入れると座席が揺れるようになってます。」

「・・・な、なんだってぇぇぇ!?」
「コインはあちらの自販機で購入できますよ。」
とスタッフが指差す先にはコイン自販機が。
200円でコインを買い、それを座席に入れると劇中の音に合わせて振動するらしい。

チケット買うときにそんなこと一度もいわれなかったぞ。
マジかよ、2200円だしたんだからもう200円くらい全然だしたのに。
座席揺れるの体験したかったー!
それ4Dじゃんかぁぁぁ!しくったー!!
とか色々思ったけど1分後に「しゃーないね」と落ち着いた。

「アバター」を観たとき、新時代3D映画の幕開けを感じた。
今回「ゼロ・グラビティ」を観て、映像技術のさらなる飛躍を感じた。

これからますます視聴者の映像に対する目は肥えていき、要求はエキサイトするだろう。
家庭用映像再生環境の充実で、映画離れが叫ばれているが、
ここでしか観れないものを探求し続ける限り劇場は死なないと感じた。
でも、料金もうちょっと安くなればなぁー
日本はやっぱ映画高いよ・・・

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