2014年4月26日土曜日

『桃太郎(R-15)』を読み解く

実家の荷物を整理していたら、
中学生の美術の時間に作った絵本が出てきた。
その名も『桃太郎R-15』
今でも製作したときのことは覚えている。
絵本を作ると聞いたとき、
まずパロディでいこうとすぐに決めた。
自分が好きな映画をモチーフに、
バイオレンスな描写を取り入れることにした。

こちらがその、
『桃太郎(R-15)』
の表紙である。


クラス展示したときの説明文も残っていた。



出演:トム・ハンクス、トモ(中学の友人)、梅田さん(不明)
当時トムハンクス主演の『キャストアウェイ』を観た影響で、
主演に抜擢したのだろう。

さっそく中身を見てみよう。


『むかしむかしある所におじいさんとおばあさんがいました。』

「お爺さん(おじいさん)」の漢字を間違えて、
「お翁さん(おおきなさん)」と書いてしまっていることに、
たったいま気付いた。
当時からおっちょこちょいである。
1ページ目から、
かなり緩めの絵柄でスタートしている。


『ある日お婆さんが川で洗濯をしていると、』

筆ペンにハマっていたらしい。
しかし余白が多い。


『大きな桃が落ちてきました。』

このカットは、
大好きなディザスター映画、
「ディープインパクト」の影響だろうか。


『お婆さんは家に持って帰って、切ってみました。』

お婆さん、クレーン持ってたんですね。


『すると中から中年男性が出てきました。』

桃に小さく「アポロ13」て書いている。
トム・ハンクス関連だからだろう。
このカットは、
そう、ご存知あの映画の引用。
最近だと「テルマエロマエ2」のポスターでも
パロディされていた。


『その男はこう言いました。「桃太郎です」』

かなりの急展開。
この辺からページ数を気にし始めていることが伺える。


『次の日、彼は「鬼たいじに行く」と言って去って行きました。』

じいさんばあさんが驚いているのも無理もない。
「次の日」なのだから。
このトムは「キャストアウェイ」から引用。
映画冒頭の「すぐ戻る」と妻に告げるシーンと、
状況が似てると思ったからである。


『途中で犬などが襲いかかってきましたが撃ちました。』

「犬などが」という書き方にゾッとした。
猿の上を飛んでる鳥がキジなのかどうかも怪しい。
このカットは『MIB(メンインブラック)』や『マトリックス』の影響を受けている。


『そして一人で鬼ヶ島へ突入して、皆殺し』

トムは前ページからコピペされているので、
色が薄くなっている。
たぶん構図を考えるのが億劫になったのだろう。


『桃太郎は宝を奪ってどこかへ行ってしまったとさ。めでたしめでたし』

孤島にたくさんの血まみれの死体。
一人だけ生き残る男。
これは当時、一大センセーショナルを巻き起こした邦画、
「バトルロワイヤル」に強く影響されたエンディング。

昔から映画ばかり見ていた私のアイデンティティは、
これっぽっちも変わっていないと再確認した。


裏表紙が、本当の完結を示す絵だった。




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