中学生の美術の時間に作った絵本が出てきた。
その名も『桃太郎R-15』
今でも製作したときのことは覚えている。
絵本を作ると聞いたとき、
まずパロディでいこうとすぐに決めた。
自分が好きな映画をモチーフに、
バイオレンスな描写を取り入れることにした。
こちらがその、
『桃太郎(R-15)』
の表紙である。
クラス展示したときの説明文も残っていた。
出演:トム・ハンクス、トモ(中学の友人)、梅田さん(不明)
当時トムハンクス主演の『キャストアウェイ』を観た影響で、
主演に抜擢したのだろう。
さっそく中身を見てみよう。
『むかしむかしある所におじいさんとおばあさんがいました。』
「お爺さん(おじいさん)」の漢字を間違えて、
「お翁さん(おおきなさん)」と書いてしまっていることに、
たったいま気付いた。
当時からおっちょこちょいである。
1ページ目から、
かなり緩めの絵柄でスタートしている。
『ある日お婆さんが川で洗濯をしていると、』
筆ペンにハマっていたらしい。
しかし余白が多い。
『大きな桃が落ちてきました。』
このカットは、
大好きなディザスター映画、
「ディープインパクト」の影響だろうか。
『お婆さんは家に持って帰って、切ってみました。』
お婆さん、クレーン持ってたんですね。
『すると中から中年男性が出てきました。』
桃に小さく「アポロ13」て書いている。
トム・ハンクス関連だからだろう。
このカットは、
そう、ご存知あの映画の引用。
最近だと「テルマエロマエ2」のポスターでも
パロディされていた。
『その男はこう言いました。「桃太郎です」』
かなりの急展開。
この辺からページ数を気にし始めていることが伺える。
『次の日、彼は「鬼たいじに行く」と言って去って行きました。』
じいさんばあさんが驚いているのも無理もない。
「次の日」なのだから。
このトムは「キャストアウェイ」から引用。
映画冒頭の「すぐ戻る」と妻に告げるシーンと、
状況が似てると思ったからである。
『途中で犬などが襲いかかってきましたが撃ちました。』
「犬などが」という書き方にゾッとした。
猿の上を飛んでる鳥がキジなのかどうかも怪しい。
このカットは『MIB(メンインブラック)』や『マトリックス』の影響を受けている。
『そして一人で鬼ヶ島へ突入して、皆殺し』
トムは前ページからコピペされているので、
色が薄くなっている。
たぶん構図を考えるのが億劫になったのだろう。
『桃太郎は宝を奪ってどこかへ行ってしまったとさ。めでたしめでたし』
孤島にたくさんの血まみれの死体。
一人だけ生き残る男。
これは当時、一大センセーショナルを巻き起こした邦画、
「バトルロワイヤル」に強く影響されたエンディング。
昔から映画ばかり見ていた私のアイデンティティは、
これっぽっちも変わっていないと再確認した。
裏表紙が、本当の完結を示す絵だった。
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